legend ej の繧繝彩色な「物語」: ジャカランダの花咲く南アフリカ・プレトリア/「花の魔術」のナマクアランド地方

2016年2月11日木曜日

ジャカランダの花咲く南アフリカ・プレトリア/「花の魔術」のナマクアランド地方

青紫色のジャカランダの花に染まる行政首都プレトリア
春の季節のプレトリア

「南アフリカの桜」と比喩され、アフリカ最南端の国・南アフリカの行政首都プレトリア Pretoria の街を青紫色に染めるジャカランダは、世界的に知られている美しい花である。プレトリアへ南米原産のジャカランダが持ち込まれたのは1880年代とされ、以降100年ほどの間で市と住民による積極的な株分けが行われ、プレトリアには現在7万本以上を数えるジャカランダの木が植えられている。
特に日本の秋、現地では春の季節となる 9月下旬~10月、満開のジャカランダの花咲く行政首都プレトリアは余りにも美しく、南方60kmの大都市ヨハネスブルグやインド洋沿岸のダーバンなど南アフリカ各地から、あるいは日本を含む海外からも大勢のツーリストが、鮮やかな青紫一色に染まった憧憬の街プレトリアへやって来る。
この季節、ケープタウンと同じく美しい街並みを誇る人口300万人のプレトリアでは、公共の建造物の周辺を初め、手入れされた広い庭付きの豪奢な邸宅が建ち並ぶ高級住宅街の並木通り、市民のための公園や庭園、一般住宅の庭先にまで植えられたジャカランダが、一斉に青紫色の釣鐘型の花を付ける(下写真)。

プレトリアのジャカランダ Jacaranda, Pretoria 比勒陀利亚 蓝花楹花
南アフリカ・プレトリア/街を青紫色に染める満開のジャカランダ
イーストウッドの丘/ユニオン・ビル

標高1,300m~1,400m、プレトリアの街は大地の皺(しわ)が織り成す東西に延びる複数の丘陵を挟んで発達してきた。市内には大小のなだらかな形容の丘がアクセントのように点在、豊かな緑と共にプレトリアの街に特徴ある穏やかな景観を与えている。(参考: 最大都市ヨハネスブルグ=標高1,700m 軽井沢=標高1,000m)
プレトリアで最も人気のある場所は、市内イーストウッド地区のなだらかな丘に建つ南アフリカ大統領官邸でもあるユニオン・ビルである。警備セキュリティも行き届き、比較的治安が確保されていることから、バラなどが植えられたひな壇形式の美しい花の庭園を備え、半円状に翼部を広げる形容のユニオン・ビルは、善良な市民の憩いの場であり、海外からやって来るツーリストの観光スポットでもある。

日本大使館の周辺/ブルックリン地区/フルンクルーフの丘/ワータークルーフの丘

春の季節(日本=秋)、ユニオン・ビルの建つイーストウッドの丘の周辺も有名スポットであるが、満開のジャカランダの見所に関しては、より南方で日本大使館のあるフルンクルーフ地区 Groenkloof、その東側のブルックリン地区 Brooklyn などの方が、ジャカランダの株数や並木道がより整っている。
特にブルックリン地区では、サーの称号を持つプレトリアの有力者であった人物の名を付けた東西に走るジュリアス・ジャップ通り Julius Jeppe St、この通りに並行するメイン通り Main St などは、全域で青紫色のジャカランダの花がトンネル状の並木をつくり、その長さは2km以上も続く。
さらに日本大使館から南東へ1,5km、フルンクルーフ地区の南端を東西に走るヘルベルト・ベーカー通り Herbert Baker St は、白いジャカランダの花が咲くことで知られている。何れも豪華な邸宅の連なる高級住宅街の幅のある静かな通りである。
日本大使館の南方1kmには、市街より標高差で100mほど高いフルンクルーフの丘が東西に延び、丘の東側には同じ標高のワータークルーフの丘 Waterkloof が連続して並ぶように南東方向へ裾野を広げている。なお、ワータークルーフの丘には、かつて1972年に閉鎖されるまでラドクリフ天文台 Radcliffe Obervatory が置かれ、南アフリカの天文観測の中心的な役割を果たしていた。また2つの丘の南西側には幹線道路R21号を挟んで広大なフルンクルーフ自然保護区も広がっている。

ワータークルーフの丘へは、市道M9号からヨハン・リシック道路 Johann Rissik Dr の坂道を西方へ登り向かうことができる。かつてラドクリフ天文台が置かれたこの丘の中腹には、現在、南アフリカ防衛情報大学の建物が建ち、さらに坂道を西方へ登ると清閑な住宅街が終わり、道路は見晴らしが効く北西隣りのフルンクルーフの丘へと延びている。
日本大使館周辺とワータークルーフの丘の麓地区は、プレトリア市内では高級住宅区であり、スペースのある豪奢な邸宅が建ち並び、治安が良いこともあり上品なイタリア系レストラン・カフェなどは、ゆったりと寛ぐ裕福な人達、海外からのビジネス駐在者や学生などで常に満席である。

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春爛漫の美しい光景/青紫色の街・行政首都プレトリア

立ち木のない草原であるフルンクルーフの丘には市水道局の大型貯水タンク4基があり、その東側には通信タワーと車5台ほど停められるパーキングスペースがある。ジャカランダの花咲く春の頃、このパーキングスペース付近から北方の日本大使館方面へ向かって眺め下ろすプレトリアの市街は、圧倒される輝きの青紫色に包まれた春爛漫の美しい光景と化す(上写真)。
日本が誇る熟練した造園職人の技も遠く及ばないほど、緑濃い常緑樹の街プレトリアの丘陵を活かして青紫色に見事に織られたジャカランダの花の景観は、まるで太めの毛糸を使ってアイルランドの女性達が編む500年の伝統あるアラン・セーターか、立体感を強調したリボン刺繍の紋様のようだ。花の色こそ異なるが、プレトリアの春の季節は、日本なら3万本のシロヤマザクラの淡紅色の花が乱舞することから、古来より「一目千本」と形容される奈良県吉野山を染める山桜に右肩並ぶ美しい絶景と言えるだろう。
南アフリカの首都
南アフリカの首都機能は3都市に分かれている。
・立法首都: ケープタウン(最南端 人口340万人)
・行政首都: プレトリア(ヨハネスブルグ北方60km 人口300万人)通常「首都」と呼ばれている
・司法首都: ブルームフォンテン(中部地方 人口46万人)
・最大都市: ヨハネスブルグ(人口800万~1,000万人)
※プレトリアは2005年以降に正式名=「ツワネ Tswane」とされたが、現在でも「プレトリア」が一般的
に使われている。また人口最大都市ヨハネスブルグは経済の中心地である。
南アフリカの行政首都プレトリアは、国と州政府機関を初め大学など教育機関、国立動物園、猿人の骨化石で有名な人類学のディソング国立自然史博物館(旧トランスファール博物館)や多くの美術館、ポール・クルーガー大統領邸宅などの歴史的な記念館群がひきしめ合っている。
さらにフルンクルーフ自然保護区や複数の保護区、美しい景観の住宅街が広がり、郊外には南アフリカの経済を担うデ・ビアス社などのダイヤモンド鉱山も含め繁栄の産業団地が開発されている。人口300万、穏やかな丘陵地形に恵まれたプレトリアはバランスのとれた政治・文化・歴史・教育・産業の街であり、ケープタウン(下写真)と同様に、春を彩るジャカランダの花に引き立てられた気品ある南アフリカを代表する美しい都市と言える。

ケープタウン眺望 Cape Town 开普敦
標高1,000mのテーブル・マウンテンから眺める「アフリカ大陸で最も美しい都市」・ケープタウン
プレトリア市内での注意点は、整理された道路が碁盤の目のように走っているが、その多くが一方通行であり、交通量はヨハネスブルグ市内より大幅に少ないが、地理に慣れないドライバーはかなり苦労することになる。また、経験論から言えば、プレトリアでは大通りや人が集まるスポットには警備ガードマンが立っていることから、大都市ヨハネスブルグの市街地やインド洋の港町ダーバンより、比較的セキュリティが整っている都市と私は感じる。


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「花の魔術」 ワイルド・フラワーの咲き乱れるナマクアランド(ナマクワランド)地方

ナマクアランド Namaqualand とは

言語分類から考えると、現在の南アフリカ北西部、ナミビア南部、そしてボツアナ南西部に広がるカラハリ砂漠周辺に住むコイコイ族(旧ホッテントット族)とサン族(旧ブッシュマン族)の人々の話す言語は、合わせて「コイサン語」と呼ばれて来た。そのうち、特にコイコイ族の話す「コイコイ語」が古くから「ナマ Nama」、あるいは「ナマクア Namaqua」として分類されていた。
また、民族系ではコイコイ族を「ナマ族」と呼ぶ場合もあり、その結果、コイコイ族が多く住む地域が「ナマクアランド(ナマクワランド)Namaqualand」と呼ばれるようになった。現在、コイコイ族はカラハリ砂漠周辺を中心におおよそ25万人が住んでいるとされる。
ただ、今日のツーリストの称呼する「ナマクアランド or ナマクワランド」とは、言語学と民族学的に特定された地域ではなく、明らかに北ケープ州北西部、特に春の季節のワイルド・フラワーに関連付けられた広大な範囲、「花咲く地域 Wild Flower Land」を限定的に指している場合が多い。

ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand 纳马夸兰地区
ナマクアランド地方の岩場を彩るキンセンカ属ディモルホセカ系デージーの群生

植物分布・植生バイオーム/ケープタウン周辺=「フィンボス帯」/北ケープ州=「半砂漠カルー帯」

アカデミックでは、南アフリカの植物の分布と地域を表わす植生バイオーム Biome は7区域に区分されている。特に世界的に有名なのは、アフリカ最南端のケープタウン周辺の「ケープ・フィンボス帯 Cape-Fynbos」と呼ばれる植生帯である。そこでは年間500mm前後の降水量のもと約9,000種の植物が生育して、しかもその半分以上がこの「ケープ・フィンボス帯」の固有種と言われている。

北ケープ州・アロエ・ディコトマ Aloe, Northern Cape
北ケープ州の乾燥地帯に生息するアロエ・ラモシシマとアロエ・ディコトマ
一方、南アフリカ・フラワーランドのナマクアランド地方を含む、北ケープ州の西部一帯と西ケープ州の内陸地域は、「多肉植物・半砂漠カルー帯 Succulent Karoo」に属している。
「多肉植物・半砂漠カルー帯」ではアロエ・ディコトマ(Aloe-Dichotoma 上写真)やサボテン科などの乾燥に強い1,500種~1,700種とも言われる多肉植物や球根の地中植物を中心に、風化花崗岩の砂利の荒野に育つトゲトゲの低木、カルーナ・ブルガリスやヒース(エリカ)に似た潅木的な植物まで含め約3,000種が生育している。
アロエ・ディコトマ Aloe-Dichotoma
学名・「アロエ・ディコトマ Aloe-Dichotoma」 は、南アフリカやナミビアの乾燥地帯に生育するアロエ科の比較的背の高い常緑多年草、背丈10mに成長したディコトマも珍しくない。見た目が「矢を収めた筒」から別名・「クィヴェール Quiver-Tree」、現地のアフリカーンス語では「コカルブーン Kokerboom」とも呼ばれている(上写真)。
通常、乾燥した荒涼たる岩石平原や草木のない岩丘陵などに単独で突っ立っているが、数多く林立する特定な場所を「アロエ・ディコトマ林 」と呼んでいる。アロエ・ディコトマ林の代表的な場所では、私の狭い経験論と情報から言えば、ナミビア南部ケートマンスフープ Keetmanshoop の北東15kmの Quiver Tree Forest Lodge 周辺の岩丘陵地帯が世界的に知られている。さらに南アフリカ北ケープ州ハンタム大平原のニューウィッツヴィル村の北東20km、直径11kmのほぼ円形状の面積を占めるガンナボス自然保護区 Gannabos NR などにも生育地が広がっている。
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「多肉植物・半砂漠カルー帯」 ナマクアランド地方/一度は訪ねたいワイルド・フラワーの宝庫

南アフリカの北西部・北ケープ州のナミビアとの国境地帯の南側には、大西洋沿岸の平原や荒野が、そのさらに東方内陸には風化花崗岩の乾燥した広大な地域、「多肉植物・半砂漠カルー帯」が広がっている。
このうち比較的大西洋に近い東西200km 南北400kmに及ぶ範囲では、日本の夏7月頃、南半球では冬の季節、大西洋の寒冷前線から湿気を含んだ気流が流れ込み、樹木の少ない複雑な丘陵地形を成すナマクアランド地方一帯にわずかに降雨や霧をもたらす。
ナマクアランド地方の降水量は多くとも年間150mm以下と言われ、年間1,700mmを観測する温帯にある東京の1/10以下である。乾燥したこの地域にあって、そのわずかな恵の雨を頼りにする無数の野生植物ワイルド・フラワーが、春の初めとなる8月~9月に一斉に開花する。この時期こそが、ナマクアランドの大自然が「花咲く協奏曲」を奏で最高の盛り上がりを披露する時である。

ワイルド・フラワーの咲いている時期は短く、季節は直ぐに気温40℃以上のカラカラに乾燥した真夏となり、多年草や球根の地中植物は花を地面に散らし、華やかな花を付けた一年草は枯れその生命が果てて行く。ただ、すべてのワイルド・フラワーが一致連合して言葉通り一瞬に咲き、1週間程度で枯れて行くのではなく、微妙に異なる自然条件下で生育する植物の種類毎に次から次へと順々に咲き、そして枯れて行くのである。
その咲き誇る期間は場所や地形、降雨量や風の影響、植物の種類によりわずかに異なり、ナマクアランド地方のワイルド・フラワーの「花咲く協奏曲」は、全体ではおおよそ1か月間ほど続き静かに終幕を迎える。
限定された短い春の季節、地平線まで続く大平原や荒野、渓谷、一部では乾燥した半砂漠地帯が、全面ワイルド・フラワーのお花畑と化す自然の驚異は、四季がはっきりと認識できる東洋の日本とは大きく異なり、信じられない自然現象で、それを以って、このナマクアランド地方が「世界最大級のフラワーランド」と呼ばれる所以となっている。
お花畑をつくる広大な面積の「花のパッチワーク」を一度でも眺める幸運に恵まれた人は、その色彩の鮮やかさと大自然がつくり出す、言葉による比喩さえも難しい大スケール感を生涯にわたって忘れることはないであろう。ことわざのように人々が語る「死ぬまでに一度は訪ねたい場所」、その一つがワイルド・フラワーの咲き乱れる南アフリカ・ナマクアランド地方である。

南アフリカ・ナマクアランド地方 地図 Map, Namaqualand
南アフリカ・ナマクアランド地方 地図/作図=ブログ管理者 legend ej
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ナマクアランド地方の中心・銅鉱山の街スプリングボック

「世界最大級のフラワーランド」の中心となるのは、マナクワランド地方のほぼ真ん中に位置するスプリングボック Springbok の町である。住民約15,000人のスプリングボックは、コロニアル様式の家々が並ぶ「アフリカで最も美しい都市」と言われるケープタウンから、国道N7号を560kmほど北上した乾燥地帯に位置している。
南アフリカは鉱物資源国、スプリングボックは周辺に開発された数か所の銅鉱山を背景に数軒の小ホテルや10軒のゲストハウス、レストランやカフェテリア、大型スーパーマーケットや近代的な病院なども建ち、競技グランドも備えた活気のある地方都市で、予想外に小奇麗な雰囲気が漂っている。
スプリングボック周辺のみならず、より北方のナミビア国境地帯を含め、普段は乾いた風化花崗岩の大地の広がる何の変哲もない土地に、春の花の季節に限って言えば、すべての草原も平原も、岩の荒野であろうとも、乾燥の半砂漠であっても、何処でも赤・白・黄・青・オレンジ・ピンク・紫色の花、花、花・・・ 鮮やかなワイルド・フラワーの色彩の大洪水が怒とうのように押し寄せる。
特に広い平原と高い樹木のほとんどない丸みの丘陵地帯を管理する広大な自然保護区や国立公園では、その生育する比類のないワイルド・フラワーの種類と規模は圧倒的と言える。

ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand
ナマクアランド地方・黄色系デージー
※NHK番組・「趣味の園芸」・「京も一日陽だまり屋」 放映写真に採用される/2016年10月

カミエスクルーン村/ナマクア国立公園/スキルパッド・ワイルドフラー保護区

スプリングボックから国道N7号を70kmほど南下すると牧畜と農業のカミエスクルーン村 Kamieskroon となる。この村の北側からオフロードで牧場的な2つの集落を抜け、北西へ約20kmの丘陵地帯へ入ると、世界に知られた総面積687㎢を誇る南アフリカ・ナマクア(ナマクワ)国立公園 Namaqua National Park に組み込まれたスキルパッド・ワイルドフラワー保護区 Skilpad WFR を訪れることができる。

「花の魔術」 ナマクアランド・デージーの花園

春の季節、スキルパッド・ワイルドフラワー保護区では、標高700mの約10㎢の管理丘陵が一面鮮やかなオレンジ・イエローの絨毯(じゅうたん)と化す。満開のナマクアランド・デージー Namaqualand Daisies が平原を埋め尽くし、幸運にも満開の時期に遭遇した人なら、この世のものとは思えない非常に美しい花咲く世界に身を置くことができる(下写真)。
単色オレンジ・イエローの眩いほどのナマクアランド・デージーで染め上げられた、波打つ丘陵が放す圧倒されそうな原色絵画を眺めていると、保護区を管理する若い黒人レンジャー達の言う「ナマクアランドの花の魔術」に酔ってしまいそうだ。
葉はシンプル、茎が細く、可憐な1年草である高さ15cm~20cmほどのナマクアランド・デージーの開花時期は、冬7月頃の降水量と気温、そして風の強弱など微妙な自然条件の違いでかなり変則されると言われている。短い春の季節、限られた自然条件のもと、生なる証しである鮮やかオレンジ・イエローを精一杯発色するナマクアランド・デージーは、風が弱く、通常17℃以上と言われている気温の上昇した晴天の昼間の時間帯のみ、花弁を広げる非常にデリケートな植物、現地ではこの可憐な花をして「天からの美しい使者」と呼んでいる。
ナマクアランド・デージーの種子の殻(種皮)は非常に固く、若い黒人レンジャー達の情報では、たとえ翌年の冬に雨が降らない環境でも、地面の下で乾燥から種子内部の栄養分を数年間も守り抜き、さらに次年の降雨を期待して発芽のチャンスに備えるとのこと。
そして、わずかな降雨を感知した年、忍耐で蓄えた生命力を一気に爆発させて、2週間と言う短い期間であるが、見渡す限りの荒野の平原を色鮮やかなオレンジ・イエローの花の絨毯へと変えてしまうのである。これをして、「ナマクアランドの花の魔術」と言う。

ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand 纳马夸兰地区
南アフリカ・ナマクアランド地方/野生のデージーが織り上げる「花の絨毯」
※NHK番組・「趣味の園芸」・「京も一日陽だまり屋」 放映写真に採用される/2016年10月
ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand
ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー
ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand 纳马夸兰地区
ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー

「世界最大級のお花畑」の出現/ワイルド・フラワーの洪水

スキルパッド・ワイルドフラワー保護区を含め、東西200km 南北400kmの及ぶナマクアランド地方では、春の季節になるとワイルド・フラワーが「チャンス到来!」という感じで一斉に、ほぼ1か月間、時をまったく同じにして爆発的に花を咲かせる。花咲く盛りこそ種類毎に短期であっても、「世界最大級のお花畑」、人の手が入らない野生の花咲くフラワーランドが、ナマクアランド地方に突然の如く出現するのである。正に夢のような有り得ない特殊な自然現象である。
日本の植物園とか、家庭でのベランダ・ガーデニングというレベルなら、植物学に疎い素人でも咲いている草花はほとんど間違えることなく特定できるかもしれないが、ここナマクアランド地方ではそういう「子供だまし」に等しい狭いレベルの「花の話」は成立しない。
南アフリカ・フラワーランドのワイルド・フラワーの種類は、現地の植物学の専門家でさえも、すぐ様正確に特定するのは至難の業と言われるほど多過ぎるのである。何しろ「○○の仲間」と言う亜種も含め生育する約3,000種の植物のうち、花を咲かせる植物がほぼ一斉に限られた時期に開花するという状態、その上、咲く花が途切れることのない数百kmもの途方もなく広い範囲にわたって埋め尽くするのである。

ホームセンターで購入して、例え自宅でどのような草花を育てていようとも、ナマクアランド地方へやって来た世界のツーリストは、あまりに恥ずかし過ぎて自慢のベランダ・ガーデニングの話は絶対に出来なくなってしまう。専門的に見た場合、数千種のワイルド・フラワーが一斉に花を咲かせる、というこの大自然の壮大な営みをもって、南アフリカ・ナマクアランド地方は植物学的、あるいは地理学的にも「地球上の稀な地域」とも言われている。
花が好きでベランダ・ガーデニングをしていまーす!」と、自慢を含め尻上がり言葉で自称する人なら、一生に一度で良い、時間や予算に無理をしてでも、春の乾燥大地・南アフリカ・ナマクアランド地方の荒涼たる「多肉植物・半砂漠カルー帯」を訪れ、世界最大級のワイルド・フラワーの花咲く絶景を自分の眼で確認しておきたい。
まるで全地表面が漆と顔料を混合した彩漆(いろうるし)で描いた絵画のように、鮮やかに発光して燃えているような圧倒される「色絵の世界」を体感できる。これこそが正真正銘の「地球のグレート・ネイチャー」であろう。
誰の管理もなく、工場で化学合成された窒素・リン酸・カリウムの液肥など一滴も存在しない純粋な自然環境下で毎年織り上げられるナマクアランド地方の花の絨毯、「花の魔術」を現実に自身で確認せずして自慢げに「花の話」はとてもできない。

参考的に言えば、私の狭い経験論の話だが、遠く東フランスの「アルザス・ワイン街道」の村々を初め(下写真)、スイス・アルプス山麓の村、あるいは北イタリア・ドロミテ山塊地方などでは、春~秋の頃、人々が丁寧に育てた草花で家の窓辺や階段などを美しく飾ることで知られている。
また、日本の女性達の憧れの地であり、夏の時期、地表を青紫色に染める南フランスのラベンダーの花も有名で、中でも中世修道院とラベンダーとのコラボレーションで見事な感動物語を演じる「プロヴァンス三姉妹」と比喩されるセナンク修道院は、「生涯に一度は訪ねたい場所」の一つと言えるであろう(下写真)。
あるいは、ずーと昔、30年程前の経験論だが、オランダ・ユトレヒトの北東17kmに旧王宮 Palace Suestdijk があるが、その丁度中間付近、閑静な住宅地として知られがビルトフォーヘン Bilthoven 郊外の森に残されていたヒース(エリカ)の原生平原を訪ねたことがあった(下写真)。現在でも周辺の森と平原は保存され、花咲く規模こそ少々減少したようだが、以前のように平原が一面ヒースの赤紫色に染まる美しい光景は感動的と言える。

経験論に限定しても、これらヨーロッパの人々の花に対する愛情と保護精神、そのアーチストのような美的センスは賞賛に値する。しかし、人の手がまったく入らない自然界に咲くワイルド・フラワーに関しては、南アフリカ・ナマクアランド地方の春の時期、8月~9月に咲き乱れる3,000種の野生の「花咲く協奏曲」が群を抜き、その規模と彩りの美しさは右肩並ぶものがないほど、正に圧倒する迫力感を誇らかに主張している。

アルザス・ワイン街道 Alsace Wine Route 阿尔萨斯葡萄酒之路
東フランス・「アルザス・ワイン街道」の美しい村
セナンク修道院とラベンダー l'Abbaye Notre-Dame de Sénanque 塞南克修道院
南フランス・セナンク修道院とラベンダー

オランダ・ビルトフォーヘン/ヒース(エリカ)平原
オランダ・ビルトフォーヘン郊外/ヒース(エリカ)の咲く平原/1980年代

フーハップ(ゲーハップ)自然保護区

スプリングボックの南東約6kmにある小型機の飛行場脇を通り抜け、東方へさらに8kmほど奥まった標高900m~1,000m、丘陵の谷間にフーハップ(ゲーハップ)自然保護区 Geogap NR が広がっている。
丸みを帯びた花崗岩が露出する浸食丘陵と砂地のなだらかな平原を含む、約14,900ヘクタール(12km四方相当)の保護区の広大な敷地では、600種を数える植物、45種ほどの生息動物、約100種の鳥類を見ることができる。
一般のビジターはまず飛行場の近くの管理ゲートで入場チェックを受けてから、保護区の専用道路を進み、笑顔のスタッフが待つ管理センターで登録と入場料支払いを行う。その後、自家用車やセンター所属のツアー車に乗り、保護区内に設けられた一周約15kmのオフロードの周遊ルートを1時間~2時間かけて、ゆっくりと時計りでトレイルして回る。
この保護区では、平原の隅々まで埋め尽くされた無数のワイルド・フラワーを無理なく観察・観賞できることから、日本を含め海外からの幾らかのグループツアーの周遊コースに組み入れられている。

ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand
ナマクアランド地方・フーハップ自然保護区
ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand
ナマクアランド地方・フーハップ自然保護区/岩石丘陵に生息するワイルド・フラワー
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スプリングボック周辺のワイルド・フラワー/銅鉱山ナバビーク村の花園

スプリングボックの北方6km、国道N7号脇に銅鉱山のオキープ村 O'Kiep があり、村は1855年に銅鉱山が開発された後、すでに1世紀半以上の鉱山の歴史を誇る。
オキープ村の国道N7号線から別れ、オフロードで岩石丘陵地帯を西方へ12km入ったやはり銅鉱山で開けた村ナバビープ Nababeep の周辺の平原は、ワイルド・フラワーを愛する人達の間では、花の季節には一面のお花畑が出現することが良く知られている。
ナバビープ村の北と西側は鉱山地区であるが、特に南側に広がる標高800m前後のわずかに傾斜する幅2kmの平原は、早春8月~9月、色とりどりの無数のワイルド・フラワーで埋め尽くされる。9月の下旬、フーハップ(ゲーハップ)自然保護区では大方の花が終りを告げる時期だが、私が訪ねたナバビープ村では春を飾る最後の花となる赤や黄、白や青紫色の美しい野生の花のパッチワークがそこ彼処に披露されていた。

荒涼たる大自然の風景/ナミビア国境地帯/国立越境公園

スプリングボックの北方、荒涼たる岩山と岩石丘陵が続くナミビアとの国境には、全長2,200kmの大河オレンジ川が渓谷をつくり、蛇行しながら流れている。スプリングボックからほぼ真北の方角、国境地点であるフィウールスドリフ Vloolsdrif まで国道N7号で約80km、オレンジ川はこの地域で大きく逆U字を描くようにカーブしながら、さらに北上して国境線を描き西方の大西洋へ流れ下る。
そのナミビアへ深く入り込み半円状に膨れ上がった南アフリカ最北西部が、深い峡谷で世界的に有名なナミビア側のフィッシュ・リバー渓谷公園 Fish-River Canyon PK と連合し合っている、南アフリカ側の越境公園にあたるリヒタースフェルト・トランスフロンティア国立公園 Richetersveld Transfrontier NP である。

面積1,610㎢、日本の佐渡島の2倍ほどの途方もない広さを誇るこの南アフリカ側の国立公園の平均降水量は東京の1/20以下、年間たった70mmほど。現実に私は現地を訪れたが、茫漠たる岩砂漠、そして最高峰は標高1,395mであるが、そのほとんどは樹木の育たない標高400m~600m前後の荒涼とした、複雑な形容の山岳地形で占められていることが分かる。
現在でもコイコイ族(旧ホッテントット・ナマクワ族)の暮らすこの国立公園区域には、ツーリスト用のロッジやキャンピング施設も整っている。しかし、アスファルト舗装の幹線道路と主要地方道を除き、条件の厳しいオフロード・トレイル走行は、車高のある4WD車以外では許可されておらず、セダン型の自家用車での走行は禁止のルールがある。また、アクセス手段と時間に余裕がないツーリストなら、幾らかの地元エイジェントが企画するネイチャーツアーに参加できる。

この地域は「リヒタースフェルト・文化的・植物学的な景観」としてUNESCO世界遺産に登録されている。当然だが、リヒタースフェルト・トランスフロンティア国立公園の植生区分バイオームは、スプリングボック周辺と同じ「多肉植物・半砂漠カルー帯」に属している。
が、生育する植物種は南部より極端な乾燥のためかなり限定的となり、1㎢あたりで約360種程度と言われている。夏の季節、昼間は気温50℃以上、夜間は急冷という苛酷な自然条件であることから、当然、生育している植物のほとんどすべてが乾燥に強いアロエやサボテン種の多肉系植物となる。
この地域では普通のツーリストが幹線道路を車で通過することはできるが、荒涼たる奥地へ踏み入るにはアドベンチャー・トレイルを行う人のみが許される。この経験あるアウトドアー派のツーリストはほかでは経験できないドラマティックで雄大な広漠荒野の風景にとけ込み、苛酷な自然環境の中で生き抜き花を咲かせる無数の多肉植物類に驚き、あるいはウサギのような姿のロック・ハイラックス、ジャッカル、マウンテン・ゼブラなどの生息動物達に遭遇する「ゲーム・サファリ」も可能である。

北ケープ州・国道N14号 Route N14, Northern Cape
スプリングボックから「多肉植物・半砂漠カルー帯」を東方へ貫く国道N14号/標高1,000m 走行する車はない

ファンリンスドリフとファンリンスドルフ大平原

ナマクアランド地方から国道N7号を南下すると、植生バイオームで「多肉植物・半砂漠カルー帯」に属しながら、西ケープ州のウェストコースト地方の行政区となり、南アフリカ・フラワーランドの南端の一役を担う地方に至る。その中心は東西60km 南北100km、地平線まで続く穏やかに波打つ大平原の町、住民3,000人のファンリンスドルフ(ヴァンリンスドープ Vanrhynsdorp)である。ただし郡都は西方のブレデンダル Vredendal である。

大平原の町ファンリンスドルフは決して大きくなく、町の南側に水の少ないクレイン川 Klein が流れ、国道N7号の入口付近に2か所のガソリンスタンド、ホテルはなくペンション形式のゲストロッジが宿泊ツーリストを収容する。そのほか町には小規模のスーパーマーケットや雑貨店が、民家とともに升目状に仕切られた区画に整然と並ぶ。
また、個人ツーリストの経験論で言えば、朝のエッグ料理は普通だが、ファンリンスドルフ・ゲストロッジで食したビーフステーキは、熱射60℃の中東イエメン砂漠で食したラクダ肉と同様の美味しさ、ほかの町で注文した獣の匂いが強いバッファロー肉や鶏肉に似たクロコダイル肉(ワニ)より遥かに美味であった。私の偏見味覚の話だが・・・

西ケープ州・ファンリンスドルフ大平原 Mts. Massikama, Western Cape 南非
ファリンスドルフ大平原と標高1,000mのマッシカマ・テーブルマウンテン山系
南アフリカ・多肉植物 Succulent, Western Cape
ファンリンスドルフ大平原の多肉植物
ファンリンスドルフの町の南方には、どっかりと構えた標高1,000mのマッシカマ山系 Mts Massikama がそそり立つ。マッシカマ山系は「ナマクアランドのテーブルマウンテン」とも呼ばれ、麓に広がる標高100mの大平原の町ファンリンスドルフを毅然と見下ろすように構えている(上写真)。
個人的な感覚だが、見た目には幾分雑然とした嶮しさを感じる有名なケープタウンのテーブルマウンテンより、マッシカマ山系の方が遥かに雄大で均整のとれた美しいテーブルマウンテン形容を誇っていると思う。
私が訪れたのが花の季節に2週間ほど遅れてしまったが、花咲く時期の8月下旬~9月上旬には、このマッシカマ山系のスカートのような山麓まで続く広大な大平原は、白や黄色や青紫色などの無数のワイルド・フラワーで全面占有されてしまう、と宿泊したゲストロッジのオーナーが語っていた。
花の季節は終わっていても、十億年前の地質時代のまま、小さな破断岩石が主体の痩せた太古の地面を良く確認すると、地表を這うようにして数え切れない種類の多肉植物がびっしりと生育していた(上写真)。

テーブルマウンテンの見晴しのファンリンス峠

ファンリンスドルフの町から雄大な大平原の中を東方へ一直線の地方道R27号が延び、35km先で迫りくるボーケヴェルド山系 Mts Bokeveld のテーブルマウンテンを一気に登る。標高820m、ファンリンス峠 Vanrhyns Pass から振り返るマッシカマ山系の美しい山容と地平線へ続くファンリンスドルフ大平原の雄大さは、何物にも勝る圧倒的なスケール感に満ちている。
特に、個人ツーリストの経験論から言えば、ハンタム大平原からの帰路、夕陽がファンリンスドルフ大平原の西の彼方へ沈む頃、峠から大平原へ下る途中にあるパーキングスペースから眺めた、真っ赤に燃えるような大平原が徐々に青紫色へ移ろう様は生涯忘れがたいシーンの一つとなった。

西ケープ州・ファンリンスドルフ大平原 Mts. Massikama, Western Cape
夕暮れのファンリンスドルフ大平原とテーブルマウンテン

ボーケヴェルド山系・テーブルマウンテン/オーログスクルーフ自然保護区

急坂のファンリンス峠を登り終え、東方ニューウッツヴィル Niewoudtville の高原台地の乾燥地域へ2kmほど向かうと、北ケープ州が管理するオーログスクルーフ自然保護区 Oorlogskloof NR への右折サインがある。砂地と露岩が続く4WD車向けのオフロードを南方へ10kmほど走ると、一面の小花のワイルド・フラワーでお花畑と化した牧場のように広い静かな高原台地が展開した後(下写真)、自然保護区の入口ゲートへ至る。
区域は標高700m~800m級のテーブルマウンテンの頂上地帯で、標高が高いことから霧が巻くことも多く、石灰岩系の固い岩盤の凹みに僅かな雨水が溜まってできた天井池が無数に点在している。生息動物のフンもそこ彼処にあり、私が訪れた時には、天井池で水を飲むヒヒの仲間や頭部から頚部が白いフィッシュ・イーグル(?)と思われる大型の鳥類も確認できた。
ニューウッツヴィルのワイルド・フラワー
ファンリス峠からR27号をほぼ直線で東方へ10kmほど、幅広く升目状に区画されたハンタム大平原の農耕と牧畜の村ニューウッツヴィルとなる。標高700mの村の東方2km、R27号の北側には南北最大6.8km 東西3.6km、ニューウッツヴィル・ワイルドフラワー保護区Nieuwoudtville WFR がある。
また、村から南東4km、ハンタム大平原に南アフリカ生物多様性研究所が2007年に創設、2008年1月に開園したハンタム国立植物園 Hantam National Botanic Garden がある。北ケープ州に属するハンタム大平原は「多肉植物・半砂漠カルー帯」だが、広さ62㎢の植物園の一部には「フィンボス帯」の植物も混在生息、約350種の植物研究が行なわれ、春の花の季節にはワイルド・フラワー平原が一般公開される。
ファンリンス峠の南東に位置する、48km2の広さを誇るオーログスクルーフ自然保護区内では、全長50kmに及ぶロング歩行のトレッキングも可能で、地層の歪みで「洗濯板状」になったテーブルマウンテンの露出した岩盤、無数の風化奇岩、さらに奥地では「ブッシュマンの岩絵」も見ることができる。
この自然保護区は、植物の専門家とトレッキング・ハイカー以外にあまり名を知られていないため、訪れる人もほとんどない。色鮮やかな黄色や青紫色のワイルド・フラワーの花々に埋め尽くされた広大な平原や嶮しい山岳地帯には抜きん出た無垢の大自然が残され、誰に見せるでもない魅力的な光景が無限に広がっている。
ほかの場所に比べ水が確保されて居ることから少しだけ緑の樹木が増え、「多肉植物・半砂漠カルー帯」と「ケープ・フィンボス帯」の双方の植生が混在、下方のファンリンスドルフ大平原には存在しないマツ科や比較的背高のある樹木やプロティア属、ピンクッション系などの日本なら植物園でしか出会えない植物も生育している。
ただし、訪ねる人が居ないという意味は、私のような単独ネイチャー・ツーリストの探求では、ある程度の「覚悟」を持たないと、途方もない大自然の誘惑に負けてしまい、あまりの静寂さの中で突然と大型動物の鳴き声が聞こえたりすると、若干だが不安感さえも覚える。自然の掟の下では、人間も単なる弱い動物に過ぎない。

ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand
オーログスクルーフ自然保護区/平原を埋め尽くす黄色デージー系の小花
ナマクアランド地方・ワイルド・フラワー Wildflower, Namaqualand
オーログスクルーフ自然保護区/ピンクッションと多肉植物

「多肉植物・半砂漠カルー帯」と「フィンボス帯」の混在エリア
クランウィリアム

ファンリンスドルフから国道N7号をさらに南下すると徐々に大地に緑が増え始め、植生は降水量が年間500mm前後へ少しだけ増加する「ケープ・フィンボス帯」の最北部となる。
その中心は「南アフリカ・ワイン街道」でもあり、オレンジやマンダリン・オレンジなどの柑橘類、そして今や世界の健康志向の人々に知られたルイボス茶を産するオリファント川(ゾウの川/Olifants R)の河畔に開けたクランウィリアム Clanwiliam やシトラスダル Citrusdal の町である。今日、西ケープ州のクランウィリアムを中心とするワイン街道の村々で造られた南アフリカ産ワインは、ヨーロッパを初め日本へも輸出されている。

クランウィリアムは18世紀の初頭から町づくりが行われて来た歴史ある洒落た町である。町には「メイン・ストリート」と呼ばれる600mほどの直線道路に沿って、2か所のガソリンスタンド、銀行や大型スーパーマーケット、ホテルや幾らかのゲストハウスなどがある。
尖塔が印象的な白亜のオランダ改革派教会と古い英国教会、旧牢獄(現=博物館&観光案内所)などの歴史的な建物も建ち並び、旧牢獄から緩やかな坂を南西方向へ少し上ると学校や病院、ルイボス茶の加工場などがある。
個人ツーリストの感触としての余談だが、ナマクアランド地方全体に適合できるが、クランウィリアム市街の治安は良く、夜間メイン通りに車を駐車していても、タイヤを外されるなどの犯罪にあうことはない。

オリファント川のダム/ブドウ畑へ延びる水路

標高100mのクランウィリアムの直ぐ西側を流れるオリファント川には、高さ43mのコンクリート堤体により堰き止められたクランウィアム・ダムがある。ダムは1億2,000万m3の貯水能力のダム湖を形成している。ダム湖からの取水は幅5m~6mほどの長大な農業用水路を伝い、クランウィリアムの市街北側と下流14km付近のオリファント川の右岸のブドウ畑と農耕地までを潤している。
さらにクランウィリアムからオリファント川の右岸の狭い道路、経験論では車のすれ違いができない、非常に狭い地方道R363号を24kmほど下流に進むと、ブルシェーク・ダム Bulshoek がある。このダムの取水口からはオリファント川の左岸一帯、国道N7号に沿って蛇行しながら35km下流のクラヴェール Klaver、さらにフレデンダル Vredendal 周辺のブドウ畑や農耕地を潤し、そして大西洋に注ぐオリファント川の最終河口まで、水路とトンネルと導水管が蛇行して延びている。

西ケープ州・オリファント河畔 Olifants Riverside, Western Cape
クランウィリアム近郊・オリファント河畔・ワイン街道エリア/雄大な風景とコロニアル様式のキレイな家々

ラムスコップ・ワイルドフラワー・ガーデン(植物保護区)

クランウィリアムの町の病院とルイボス茶の加工場の西側で、ダム湖畔近くの丘陵にラムスコップ・ワイルドフラワー・ガーデン Ramskop WFG があり、この地方の代表的な植物とワイルド・フラワー約350種以上をびっしりと上手に植え込み一般公開を行っている。
ここは給水などを行っている管理植物ガーデンで、ナマクアランド地方のワイルド・フラワーの花の盛りが終わっていても、ここではまだ沢山の花が満開で咲いているので、手軽に花と植物を観賞できることから、日本を含め多くのグループツアーのツーリストが訪れている。
なお、ワイルド・フラワーの咲く現地の春の時期(日本=秋)、クランウィリアムの町では「クランウィリアム・ワイルドフラワー・ショウ Clanwiliam Wild Flower Show」が開催される。
ラムスコップ・ワイルドフラワー・ガーデン
最近では日本から、「世界三大瀑布」で有名なヴィクトリアの大瀑布(ジンバブエ・ザンビア国境地帯)や南アフリカのワイルド・フラワーを含む南部アフリカ方面へのツアーが数多く企画されている。特に南アフリカのワイルド・フラワーに限って言えば、花は自然の摂理であり、冬の降水量や天候、風の強弱などの微妙な条件から、ナマクアランド地方のワイルド・フラワーの咲く時期や花の盛りが、予定のツアースケジュールから大幅に外れた場合など、ラムスコップ・ワイルドフラワー・ガーデンを「控えの代替観賞地」として選択している旅行会社が多い。
多くのツアー・ツーリストが宿泊に利用するクランウィリアムの町から2kmに満たない近距離という利便性もあり、管理面積は決して広大とは言えないが、このラムスコップ・ワイルドフラワー・ガーデンで生育管理する植物とワイルド・フラワーは、約350種以上と種類も多く、咲いている期間も長いということで、ガーデンは訪問するに値する高い評価を受けている。
ガーデン内には遊歩道がきめ細かく設定してあり、植物の名称表示や専門的な説明ボードもあり、ワイルド・フラワーの「入門編」としての観察・観賞にはたいへんと有効である。
セダーバーグ野生保護区/標高900m パークホイス峠

歴史あるクランウィリアムから東方へ延びる地方道R364号は、市街地に近い最初の区間はアスファルト舗装だが、美しい円錐形を成す標高480mのスピッツコップ山 Spitskop の脇を過ぎるあたりから標高も上り、無舗装オフロードとなる(2008年/その後⇒全面アスファルト舗装施工)。
道路を徐々に登って少し下り、さらに一気に長い登坂を続けると標高900mの荒涼たるパークホイス峠 Pakhuis Pass へ至る。峠を越えて急勾配のアピン・カーブを下って行く平原の植生は、ナマクアランド地方と同様な「多肉植物・半砂漠カルー帯」である。

途中、地方道R364号は面積ではナマクア国立公園より広い、約71,000ha、710km2を誇り、無数のワイルド・フラワーと奇岩トレッキングなどで有名なセダーバーグ・ワイルド保護区 Cederberg WR の北端部を通過している。
セダーバーグ・ワイルド保護区は、ケープ半島の先端部、さらにはデ・ホープ自然保護区やブース・マンボス自然保護区などと共に(合計8か所)、ケープ植物保護区域 Cape Floral Region Protected Areas として世界遺産に登録されている。この区域は世界で最も植物群に富んでいる「ケープ・フィンボス帯」と言われている。

北ケープ州・ワイルド・フラワー平原 Wildflower, Northern Cape
北ケープ州・ワイルド・フラワー平原
北ケープ州・ワイルドフラワー・紫マツバギク 纳马夸兰地区
北ケープ州・ワイルドフラワー・紫マツバギク
※NHK番組・「趣味の園芸」・「京も一日陽だまり屋」 放映写真に採用される/2016年10月
北ケープ州・ワイルド・フラワー平原 Wildflower, Northern Cape 纳马夸兰地区
北ケープ州・ワイルド・フラワー平原

ブッシュマン岩絵保護区/高級ホテル&ロッジ/花咲くビエドウ渓谷

パークホイス峠を下ると約15kmで水量は少ないがブランディウィン川 Brandewin R となり、なおもオフロードを6kmほど東進すると南方へ右折する道路との交差点となる。ここから見晴らしの良い尾根を南方へ向かうほぼ直線オフロードを10kmほど進むと抜群のパノラマが展開する標高700mの峠となる。ブッシュマンの岩絵地区はこの尾根オフロードの右手(西方)に位置している。
パノラマの峠の南下方には露岩のビエドウ川 Biedou R がゆったりと流れ、潅木と岩地の混在する斜面を持つ穏やかな形容の丘陵に囲まれた緑濃い雄大なビエドウ渓谷が展開している。この渓谷には巨大な岩壁や半洞窟の岩場に残されたブッシュマンの岩絵と自然保護を行なっている「ブッシュマン・クルーフ・ワイルド保護区&ホテル Bushmans Kloof Wilderness Reserve and Hotel」がある。

Hotel Bushmans Kloof
☆☆☆☆☆ホテル・Bushmans Kloof 岩場レストランの夕べ
雄大で美し過ぎる大自然の中に佇むこの「☆☆☆☆☆ホテル&ロッジ」は、100万部のアメリカの権威ある月刊誌・「Travel+Leisure World's Best Awards」による「2009年・世界ベスト100ホテル部門・No.1」を初め、世界の宿泊とグルメ関連の評価で数々の最優秀賞を獲得している。
サバンナ草原で野生動物や自然探検を扱ったセレブ主演の映画ロケに使われそうなラグジュアリーな岩場レストラン(上写真: 情報=Bushmans Kloof Hotel)、清流が流れる岩盤にできた浅い池の中でのプライベートな食事、16室の豪華でありながら機能美のベッドルームが自慢のホテル、乾燥カルーの風景に溶け込むロッジ周辺を含むビエドウ渓谷一帯は、春の季節、大規模なワイルド・フラワーが見られることで知られている。
ホテルでは岩絵探索ツアーだけでなく、白黒のお面のような顔付きで長い節状角の大型オリックス(ゲムズボック)やケープ・マウンテン・ゼブラなどの野生動物を探すゲーム・サファリ、デージーなどのワイルド・フラワー散策、ビエドウ川のカヌーやハイキングツアーも企画している。
参考情報
●「Travel+Leisure」の「世界の魅力ある都市」部門では、2014年、2015年、日本の「京都市」が連続1位を獲得している。
Travel+Leisure 公式URL: http://www.travelandleisure.com/
●☆☆☆☆☆ホテル BUSHMANS KLOOF 公式URL:
http://www.bushmanskloof.co.za/
私が訪ねた時、ビエドウ渓谷一帯はデージー系をメインに750種以上とも言われるワイルド・フラワーが咲き乱れていた。その競演する花々の美しさは、かつて1980年代に訪ねたハンガリー中部のヘレンド陶器工場で買った宝飾陶器の絵柄、あるいはブルガリアで見た多彩な刺繍作品より遥かに色鮮やかなパッチワークキルトとなり、雄大な渓谷平原を見たこともない原色プラチナカラーで隙間なく染め上げていた。

南アフリカ最大級・ワインセラー・「CEDERBERG Private Cellar」

約71,000ha、710km2の広大な面積を誇るワイルド保護区に指定されているセダーバーグ山地は、文字通り、スギ科(杉)の「クランウィアム・セダー」の生育保護地であり、ワイルド・フラーのみならず、風化奇岩の宝庫でもある。
山地はおおよそ南北方向に刻まれた無数の深い渓谷を形成する、標高500m~1,600m級の連山の「しわ」が幾重にも連続する複雑な地形を成している。このためフランス東部のジュラ山地と同様に、主なアクセス道路は渓谷に沿って南北方向に走り、東西方向からの山地へのアクセスは非常に難しい地域である。この人を寄せ付けない渓谷と連山の「しわ地形」が、別な意味では自然保護の優位性とも言える。

セダーバーグ・ワイルド保護区の中央部、標高1,000m付近の源流域から流れ出したマールガット川 Maalgat は、南東方向へ形成された渓谷を流れ下り、山地の南部域、標高840m付近で支流のドワルス川 Dwars と合流する。合流点の南方2km、1973年からワイン・ブドウの栽培を始めた、南アフリカ・最大級のワイン醸造所・「CEDERBERG Private Cellar」がある。
雄大な岩山地と潅木の岩丘陵と風化奇岩群に囲まれた「CEDERBERG Private Cellar」は、標高875m付近、南アフリカ国内で700を数えるワイン醸造所の中で「最も標高が高いブドウ畑」として知られ、その作付け面積は66ha(相当=810m四方)、赤ワイン用60%、白ワイン用40%のブドウ栽培が行われ、コッテージ宿泊も可能である。

CEDERBERG Private Cellar
CEDERBERG Private Cellar ワイン・ブドウ畑/セダーバーグ山地
photo: by CEDERBERG Private Cellar Web-page
●関連Webサイト: 南アフリカ最大級・ワイン醸造所・「CEDERBERG Private Cellar」
http://www.cederbergwine.com/
醸造所は、上記のビエドウ渓谷から南方45km、国道N7号から東北へ直線距離26km付近である。

南アフリカで最も乾燥地帯/多肉植物・半砂漠カルー帯/ハンタム大平原

赤茶けたオフロードR364号をブッシュマン岩絵方面へ向かわずに、北東方向へ170kmほど走行すれば、風景は徐々に変化して、「多肉植物・半砂漠カルー帯」のカルヴィニア Calvinia を中心とする乾燥したハンタム大平原 Hantam Great Plains へと至る(下写真)。
途中にはテーブルマウンテンの深い渓谷と多肉植物が群生する乾燥した雄大な平原と山岳地帯が広がり、高い樹木のまったくない乾燥した風化丘陵の裾などには、目印のようにアロエ・ディコトマがポツンと突っ立っている荒涼たる風景が続く。標高1,000m前後、ハンタム大平原を含む夏季気温50℃を超すカルヴィニア周辺が、南アフリカで最も乾燥した地域とされる。

ハンタム大平原 Hantam Great Plains 南非
南アフリカの乾燥地帯・カルヴィニア近郊/標高1,000m ハンタム大平原
南アフリカ/揚水用の多翼型風車
南アフリカの乾燥地帯で見かける揚水用の多翼型風車

ロイズ・レイポルド博士の墓

クランウィリアムからR364号でパークホイス峠へ向かい、峠の4kmほど手前、標高700m付近のオフロード脇のブッシュ潅木地帯に、南アフリカの詩人であり、小説家でジャーナリストでもあった医学博士C.ロイズ・レイポルド(Dr.Louis Leipold 1880年-1947年)の墓がある(左下写真)。
レイポルド博士はクランウィリアムにあるオランダ改革派教会の牧師であったC.フレデリック・レイポルドの息子として、ケープタウンの北東120kmの主要都市ウォースター Worcester で生まれた。高い教育を受けたレイポルドは「二次ボーア戦争」のレポーターを務め、ロンドンで医学を学び、南アフリカで医学検視官の業務にも就き、ヨーロッパを初めアメリカや東インドなどを旅している。
また、レイポルド博士はサン族の暮らすパークホイス峠から東方一帯を占める「ハンタム Hantam」と呼ばれる乾燥した荒野と嶮しい山岳地帯をこよなく愛し、アフリカーナ語で詩を書いている。
レイポルド博士の墓は、ブッシュ潅木に覆われた崖と言える垂直な岩盤をきれいに掘削したような自然にできた半円形の空所にある。静かに眠る博士の墓の斜め左上には、彼の死の遥か以前にサン族(旧ブッシュマン族)が赤茶の顔料で描いたゾウか、あるいは私には大型アンテロープ類と思える動物の「親子」の小さな岩絵が、墓を見守るように残されている。

レイポルド博士の墓/カツオドリの営巣地
左写真: レイポルド博士の墓              
右写真: 大西洋沿岸・バードアイランドのカツオドリの営巣地

大西洋ランバーツ・ベイ/カツオドリ営巣保護区/ロブスター漁村

クランウィリアムから快適なアスファルト舗装の地方道R364号で広大な草原と耕地が続く中を西方へ60km走行するとランバーツ・ベイ Lamberts Bay の村となり、観光案内所、ホテルが1軒、数軒のゲストハウスが遠方からのツーリストを迎える。
ロブスター(イセエビ)の水揚げ漁村として有名なランバーツ・ベイは、大西洋からの強風の中に静かに佇んでいる。立木がほとんどなく、春の季節には周辺をワイルド・フラワーで埋め尽くされるちょっとしたリゾートを思わせる明るいランバーツ・ベイには、5~6軒のシーフード・レストランや魚の加工場、白亜のきれいな教会などもある。

ランバーツ・ベイでは、沖合まで延びる桟橋を兼ねた堤防を200mほど歩めば、頭部から頚部にかけて淡いベージュ色をしたケープシロカツオドリのコロニーであるバードアイランド Bird-Island となる(右上写真)。
波で洗われ丸みを帯びた岩場と砂地、そしてムール貝などのおびただしい量の貝殻が目立つこの島には、コンクリート製の軍事用トーチカを想像させるような造りの観察用施設がある。ビジターは1Fがガラス窓、2Fがガラス窓を外した覗き窓的な場所から、「ギャーギャー」と鳴きながら巣を守る25,000羽以上と言われるカツオドリの生態を10m余りの至近距離から詳細に観察できる。多くのツーリストは大西洋の高波と強風で押し寄せられた海草の放つ独特な匂いとカツオドリの鳴き声とその個体数に圧倒される。

地元ロブスター・レストラン

白い砂浜が続く大西洋に面するランバーツ・ベイは、ロブスター(イセエビ)の水揚げ漁村であり、私は「☆☆☆ランバーツ・ベイホテル」の隣にある警察署の相向かいで営業する地元レストランに入り、大型サイズの焼きロブスターを食した。茹でポテトなどが添え付けされ、驚くほど価格も安く、本場物ロブスターでさすがに美味であったことは述べるまでもない。
ルイボス茶
ルイボス茶とは、大西洋に平行するようにウェストコースト地方を南北に走る標高1,600m級セダーバーグ山脈の西麓、特にクランウィリアム周辺が有名で、また最近になり需要の伸びから耕作を始めた東方の乾燥した高原台地であるニューウッツヴィルやカルヴィニア周辺のみで生産される、マメ科の植物アスパラサス・リネアリスを原料とした加工ハーブ茶である。
アカデミックでは、リネアリスの仲間は280種もあるとされ、多くは成長すると最大1,5mほどの高さになり、その花は鮮やかな黄色で、花弁の裏面には短い繊毛がある。中でも農薬や肥料などを一切使用しないで栽培されるこの薬草とも言えるアスパラサス・リネアリスの杉のような針葉の葉は、ノンカフェイン・低タンニン質で、この葉や茎を添加物や着色量などをまったく使用しないで発酵させ、乾燥したものがルイボス茶である。
このルイボス茶には血糖値を抑える抗酸化作用や老化抑制などの成分が含まれるとされ、古くから健康への有効性が評価されてきた南アフリカの代表的な飲み物である。なお古いアフリカーナ語(サン族/旧ブッシュマン族)では、リネアリスの緑の葉が徐々に赤茶色へ変色してから収穫することから、この茶は現地で「赤い藪(やぶ)」を意味する「ロイボス」と呼ばれている。
最近、ルイボス茶は都内のデパートや大型スーパー・マーケットなどでも輸入販売を始めている。現地の南アフリカでは日常的に飲用される大衆茶であり、はっきり言って信じられないくらい安価であるが、さすが地球の反対側から日本へ輸入されることから、都内では結構高価で販売されている。
野生動物探しの本格的な「ゲーム・サファリ」

ナマクアランド地方や西ケープ州の乾燥地帯に生息する野生動物の個体数は決して多いとは言えない。ライオンやゾウ、キリンやサイなど大型の野生動物を探す本格的な「ゲーム・サファリ」では、南アフリカ北部のサバンナ草原、あるいはナミビア国境~カラハリ砂漠の方がより推奨できるエリアである。

南アフリカ・サバンナ草原 Group of Impala, Savannah, South Africa 游戏野生动物园
南アフリカ・サバンナ草原のインパラの群れ
●関連Webページ: 旅人legend ej の「南アフリカ紀行」サイトマップ
●関連Webサイト: 海外旅行1,200日・世界47か国 
旅人legend ej の世界紀行・心に刻む遥かなる「時」
legend ej の世界紀行
●過去のブログ:
イエメン: イエメン砂漠/ワディ・ハダラマート大峡谷/夏 熱射60℃ 灼熱の世界
イタリア: 「花の都・フローレンス」で観たボッティチェリ作・フレスコ画≪受胎告知≫
       世界遺産・北イタリア・ドロミテ山塊/大自然の造形美 「雄大なる讃歌」
ギリシア: ミノア王妃の「世界最古のお風呂」と水洗トイレ/クレタ島クノッソス宮殿遺跡
       クレタ島クノッソス宮殿遺跡・フレスコ画≪パリジェンヌ≫は女神だったのか?
スペイン: ラ・マンチャの乾いた風/コンスエグラとカンポ・デ・クリプターナの風車の丘
フランス: 夏 ラベンダーの花咲く季節/南仏プロヴァンス地方セナンク修道院
       花のある風景/アルザス・ワイン街道・コロンバージュ様式の美しい家並み
       南西フランス・ケルシー地方・「フランスの最も美しい村」サン・シル・ラポピー
       「フランスの最も美しい村」ゴルド/南仏プロヴァンスの「極上の美しい眺め」
南アフリカ: ジャカランダの花咲く南アフリカ・プレトリア/「花の魔術」のナマクアランド地方
EU諸国: ヨーロッパの「最も美しい街」は? 経験論からⅠ部(北欧~中欧~東欧)

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