legend ej の繧繝彩色な「物語」: 「フランスの最も美しい村」 ゴルド/南仏プロヴァンスの「極上の美しい眺め」

2015年12月14日月曜日

「フランスの最も美しい村」 ゴルド/南仏プロヴァンスの「極上の美しい眺め」

ゴルド Gordes

位置: 南フランス・アヴィニオン⇒東方30km/エクス・アン・プロヴァンス⇒北方35km
標高: 350m(リュベロン平原の尾根&斜面)/人口: 行政区含め2,200人
特色: 「フランスの最も美しい村」

「フランスの最も美しい村」ゴルド Gordes 法国最美丽的村庄 戈尔德
「フランスの最も美しい村」ゴルド/プロヴァンス地方
「フランスの最も美しい村」が誇るプロヴァンスの「極上の眺め」

南フランス・プロヴァンス地方を象徴する小さな村ゴルドは、厳しい条件と審査を経てフランスの最も美しい村に認定されている。その言葉通り、「丘上都市」であるゴルドは、プラタナスの並木道と「水の都」として知られるエクス・アン・プロヴァンス生まれ、「近代絵画の父」と呼ばれるポール・セザンヌの油彩の風景画に勝るとも劣らない美的な景観、言うならばプロヴァンスの「極上の眺め」を誇る。
プロヴァンス地方の中心アヴィニョン(下写真)の東方30km、ゴルドは北方のヴォークリーズ山地からリュベロン平原に張り出した標高350mの高原台地の尾根にある。その頂点にはゴルドの村のシンボル的な存在になっている中世のシャトー城塞が建ち、それを取り囲むように広がるヒナ壇状の露岩斜面には、迷路のような古風な石畳の路地で結ばれた朱色の屋根の石造りの家々が密集している(トップ写真)。ツーリストに旅情を誘うゴルド、何とも風情ある美しい眺めの村である。

世界遺産アヴィニオン Avignon, Provence
プロヴァンス地方・世界遺産アヴィニオン

ゴルドの歴史

イタリアに見られる多くの古い城塞都市と同様に、地中海の繁栄と戦いの歴史を刻んで来た丘上都市ゴルド。村には古代ローマ時代の居住痕跡や墳墓も確認され、中世11世紀には初期のシャトー城砦が建造され、さらに12世紀になると村を取り囲む城壁も築かれた。
しかし、ルネッサンスの時代には外部からの襲撃を受け、続く16世紀に起こったフランス宗教改革の「ユグノー戦争」では、ローマ・カトリック教会とユグノー派(プロテスタント教会)との激しい戦いで大きな被害を受けるなど、ほかのヨーロッパの町と同様に、ゴルドの村は繁栄と戦いが交互する混乱の時代の中を生き抜いて来た。
16世紀の前半、ゴルドは槍騎兵として名を馳せた領主アントワーヌ・ゴーダン(1526年生)に始まり、8代目のシャルル・フランソワ・ジョセフ・ゴーダン(1772年~1840年)まで、約3世紀にわたってゴーダン家が村を治めて来た。
その後、近世18世紀~19世紀になると、ゴルドでは周辺の豊かな耕作地を利用した農業物の生産は無論のこと、地中海沿岸で盛んになった羊皮のなめしや靴作りなどのレザークラフト、オリーブ油製造などの手工業が大いに発達した。
また、20世紀の悲劇である「第二次大戦」では、ゴルドは中世に受けた被害に匹敵する、ナチス・ドイツ軍の激しい攻撃により甚大な損害を被りながらも、住民の勇敢な反撃行為に対して、フランス政府は村に「フランス軍・戦功十字勲章」を授与している。

「ゴルドの魔法」/展望テラスからの絶景

プロヴァンス地方の世界遺産・アヴィニョンや古代ローマ時代の凱旋門を残すカヴァイヨンからの地方道D2~D15号(通称=カヴァイヨン道路)は、南欧らしい淡いベージュ色の石灰岩の石垣で囲まれた果樹園や斜面畑、ナラやマツの木などの混交林を蛇行しながら徐々に高度を上げる。2,000年以上前から使われて来た決して広くない地方道が村へ近づく手前、標高300mを越えた尾根の左カーブ付近で展望が一気に開け、右手遠方400mの距離にゴルドの全景が飛び込んで来る(トップ写真)。
視界が良いとは言えない登坂道路が終わり、突然の如く出現するこの圧倒される光景、道路右側のパーキング場からの眺望を目にする時、「ウワァ~ゴルドだ! キレ~~イ!」と誰しもが声を上げて絶叫せずにはいられない。日本が誇る海外旅行ガイドブック≪地球の歩き・・・≫やWeb画像などの予備知識で事前に心の準備をして来たにもかかわらず、この本物の美しいゴルドの全景を視界に捉えた時、すべてのツーリストの感動神経は一気にヒートアップ、感慨した心は興奮の坩堝(るつぼ)と化す。
「回転寿司」で知られた遠い和国からの誠実なツーリストのみならず、「Very beautiful !」・「Sehr schön !」・「Très belle !」・「Molto bello !」・「Очень красиво!」・「很漂亮!」・「جميلة جدا !」など、発音は異なっても世界中からやって来た観光客の「キレ~~イ!」の絶叫が、和音のパルス曲線を描きながら、毎日、途切れることなく微風の吹くリュベロン平原へ流れて行く。
その瞬間、日本から来た食事中もスマホを手放さない若いキレイな女性達だけでなく、感動・感激が最近めっきり薄れたと自嘲する中高年グループさえも、男女を問わず皆揃ってゴルドの魔法にかかったように歓喜の極み、過去に経験したこともない抑制不能の「キレ~~イ!」の熱狂のトルネードに我を忘れる。
そうして瞬く間に5分が経過、ようやく興奮の魔法が解け、平常血圧値を取り戻したツーリストの発する言葉は誰もが等しく、「とにかく、ゴルドの定番写真、撮らなきゃ!」。デジカメ、スマホ、タブレット端末、あるいは旧式フィルムカメラ・・・記憶ディバイスの形式は異なっても、その向けられたすべて焦点は400m先のプロヴァンスの「極上の眺め」、丘と斜面に広がるゴルドの美しい家並みである。

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ゴルドの「定番写真」の撮影ポイント

トップ写真も含め、ゴルドの全景を収める定番写真の撮影ポイントはたった一か所だけ。村を眺望するのに絶好の位置にある道路脇の狭いパーキング場、さらにピンポイントで言えばパーキング場の北方30m先、手摺りのないちょっと危険な露岩の展望テラスからである。大型バス2台と乗用車10台が限度、スペースに余裕あるとは言えないこの尾根パーキング場と展望テラスから眺めるゴルドの村は、正に「フランスの最も美しい村」の名誉に胸張る絶景である。
それは何時間もず~と眺めていても飽きない、例えば、イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館で見たルネッサンスの画家サンドロ・ボッティチェリの大作、テンペラ画≪ヴィーナスの誕生(下写真)≫に似て、この展望テラスを訪ねたツーリストが立ち去るのをグイッと袖をつかみ引き止めるに相応しい、プロヴァンス地方を象徴する「極上の美しい眺め、と過言なく私には強調できる。

ヴィーナスの誕生
ボッティチェリ作≪ヴィーナスの誕生≫/フィレンツェ・ウフィツィ美術館

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そうなのだ! このゴルドの「定番写真」の撮影ポイントからの眺めこそが、≪生涯に一度は訪ねたい場所≫にファーストセレクトできる絶景と言えるだろう。フランスの本物の魅力は首都パリだけにあると、自慢話のように勘違いしている人が居るなら、それはあまりに狭い視野と見識、非常に残念なことと言わざるを得ない。
特に眩しい陽光の降り注ぐ真夏の午後には、美村メネルブやボニュー村(後述)などリュベロン平原を駆け抜けた地中海からの乾いた微風が、標高差80mの足元からこの露岩の展望テラスへ吹き上がる。その清清しさの中でゴルドの眺望を満喫、思わず目を閉じれば、誰でもまどろみの心癒される気分、雑念のない至福の時間を過ごすことができる。海外からのツーリストでごった返す喧騒の首都パリではなく、夏、南フランスの田舎で過ごす素晴らしさと感動は、現地で経験した人だけが知る「心の宝石箱」となるであろう。

付加して言えば、現在、フランスには住民2,000人以下の「田舎」と言われる村が約32,000か所あるとされ、そのうち「フランスの最も美しい村」に認定されているのはたった153村だけ(2015年)。その中でゴルドがトップの座を不動のものにしている事実と意味を、この「定番写真」の撮影ポイントに立った時、誰もがうなずき納得できるはずだ。
また、「フランスの最も美しい村」に関しては、南西フランスを初め、東フランス・「アルザス・ワイン街道」にも美しいスポットが点在していることを忘れてはいけない。例えば、人口220人の本当に小さな村であるロット河畔の崖上のサン・シル・ラポピー(下写真)、中世の時間に染まった1,850人のワイン産地エグイスハイム村(下写真)、人口1,250人の村にもかかわらず年間200万人のツーリストが訪れるリクヴィール村などがある。
参考だが、フランスのテレビ局F2の調査、バカンスなどで滞在してみたいとする「フランス人の最も好きな村」では、サン・シル・ラポピーは2012年1位、同年6位にリクヴィールがランクされ、さらにエグイスハイムは2013年1位となっている。経験論からしても、これらの村々もプロヴァンス地方ゴルドの右肩並ぶに相応しいフランスを代表する旅情の美村と言えるだろう。

「フランスの最も美しい村」サン・シル・ラポピー Saint-Cirq-Lapopie 圣西尔拉波皮耶
南西フランス・ケルシー地方・「フランスの最も美しい村」サン・シル・ラポピー

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アルザス・ワイン街道エグイスハイム Eguisheim, Alsace 阿尔萨斯葡萄酒之路
アルザス・ワイン街道・「フランスの最も美しい村」エグイスハイム
●参考公式サイト: 「フランスの最も美しい村」協会 http://www.les-plus-beaux-villages-de-france.org/
「フランスの最も美しい村」

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≪アルルの女・メヌエット≫が聞こえてくるような錯覚/プロヴァンスの魅力

歴史と風土の異なりもあるが、こんな日本では有り得ない圧倒される風景を眺める時、偶然ではなく必然として、プロヴァンスの夏の微風に乗って、19世紀フランスの文豪A.ドーテの戯曲≪アルルの女 L'Arlesienne≫の付随音楽・G.ギゼー作曲≪美しきパースの娘≫からE.ギロー編曲≪第二組曲・第三曲・メヌエット≫が流れて来るような錯覚を覚える。
フランスの民俗舞踊から16世紀以降に優雅な宮廷舞踊へ発展したとされるメヌエット。もしも私がこの見晴らしの露岩尾根から美しい村ゴルドを眺望して、西隣フォンティーヌ・ヴォークリーズ村の湧水のように、そのフルートとハープの奏でる流麗で澄んだ舞曲の旋律を聞いたなら、憧憬にも似た夢想物語に誘惑されてしまうだろう。闘牛場で一度だけ見た妖艶な「アルルの女」への盲目の恋の果て、錯乱して「アルルの女」の助けを請う幻聴を聞き、穀物小屋の高いバルコニーから身を投じる悲恋の主人公フェデリコのように、身も心も奪われてしまうような・・・

南フランスは白い浜辺と豪華なホテルの林立するリッチな光景ではなく、むしろ露岩した丘上や尾根の斜面に朱色の屋根の石造りの家々が密集して建ち並ぶ、ゴルドやルールマルン、アンスイ(後述)など幾分古風で郷愁を誘う村々の点在に顕著な特徴がある。究極的に言ってしまえば、隠すことなく野趣を表に出した田舎の村々にこそ、南フランスの「最大の魅力」が潜んでいると言っても良いだろう。
南フランスの心引かれる物語や人々の言う≪プロヴァンスの贈りもの≫は、「キレイ・カワイイ・オイシイ」ものだけを求める人には何かと異論もあろうが、何処を探しても着飾った富裕な沿岸の街カンヌや小指を立てて気取ったニースなどにはなく、野に咲く可憐な草花とフルーツの香り漂うリュベロン地方の「土の匂い」がする片田舎で成立するもの、と私には思えてならないのだが・・・

ゴルドの村へ向かうアクセス道路/村の広場・兵士の慰霊碑

≪アルルの女・メヌエット≫の流麗な旋律の余韻を胸に刻みながら、露岩の展望テラス(パーキング場)から地方道D15号(通称=カヴァイヨン道路)でゴルドの中心へ向かう。展望テラスから北方へ500m、セナンク修道院へ通じる地方道D177号(左折)との分岐点となる。
谷を挟んで右手遠方にゴルドの村を望みながら、さらに地方道D15号を北方へ250m進めば、道路は「行って来い」の言葉通りの超ヘアピンカーブ(左側=大型パーキング場)となる。このカーブポイントから南東へ400mほどダラダラ登坂すれば、標高350m、ツーリストで賑わうゴルドの中心となっている村の広場へと至る。
広場の真ん中には、1914年~1918年の「第一次大戦」で村から出兵し戦死した兵士の慰霊碑があり、グリーンの植込みロータリーの役目を果している。また、地方道D15号が広場に達する右側角には、鐘を備えたカトリック白色苦行会(ペニタン・ブラン)の礼拝堂があり、芸術作品の展示会などが開かれている。

兵士の慰霊碑のロータリー広場から北方へ向かう地方道D15号(通称=ミュール道路)は、村外れから北方へ延びる尾根を登坂、その後分岐してヴォークリーズ山間部を左回りで大きく迂回しながらセナンク修道院へ向かっている。
また、ロータリー広場から巨大な壁を形成するシャトー城塞の北壁部に沿い、郵便局の南側を抜け、北東へ急に下る感じの地方道D102号(通称=ヌーヴ道路)は、村から離れ右へ左へと緩やかに蛇行して、詩を歌いながら果樹園などが点在する広大なリュベロン平原の彼方へと延びている。
「第一次大戦」の関連情報
1939年9月、ヒットラー率いるナチス・ドイツ軍のポーランド侵攻で始まる「第二次大戦」の遠因でもある「第一次大戦」は、1914年6月、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者フランツ・フェルディナント大公が、重要な宗教行事で訪れたボスニア・サラエボで妻と共に暗殺されたことに端を発した。
「第一次大戦」の戦線はヨーロッパのみならずアフリカ・中東諸国、アジアや南太平洋へも拡大され、死者は4年間で約1,700万人となり、次の3,000万人の犠牲者を出す「第二次大戦」と並び、人類史上、最大の犠牲者を数える悲惨な戦争であった。

アルザス地方・ハルトマンズヴィラーコフの丘
東フランス・アルザス地方・「第一次大戦」の激戦地・ハルトマンズヴィラーコフの丘
●関連Webページ: フランス軍とドイツ軍の激戦・「ハルトマンズヴィラーコフの戦い」(上写真)
アルザス・ワイン街道(南部)・タン周辺のコロンバージュ様式の美しい町と村々

石積み建築・「ボリー」の家屋保存地区
露岩の展望テラス(パーキング場)から西方1.5kmには、紀元前の青銅器時代~19世紀頃まで使われたとされる、壁や屋根に石材を円錐状に積み上げた「ボリー Borie」と呼ばれる独特な建築家屋群がある。この石積み家屋ボリーはゴルド地区のみならず、村の南東5.5kmのグルト村なども含め、現在、プロヴァンス地方全体では5,000~6,000棟を数えるとされる。なお、ボリーの石積み家屋群はフランスの「歴史的建造物」に指定されている。

ゴルド~セナンク修道院へのアクセス道路
ツーリストがゴルドから徒歩、または車でセナンク修道院へ向かう場合、露岩の展望テラスから北方500m付近で左方へ分岐する地方道D177号(通称=セナンク道路)を利用すれば3km弱の道のりである。この道路は歩行者と一般車の限定通行(夏季一方通行)が行われている。
なお、ツアーグループの大型バスは、兵士の慰霊碑のロータリー広場から北方へ向かう地方道D15号を経由、その後ヴォークリーズ山間部を大きく左回りで迂回する地方道D244号~D177号を経由してセナンコル渓谷のセナンク修道院へ向かう。この迂回コースではゴルド~セナンク修道院まで走行8kmとなる。

ゴルドの「定番写真」の撮影
ゴルドを訪ねたツーリストの10人中全員が撮影する露岩の展望テラス(パーキング場)からの「定番写真」。地形的な偶然性が幸いするが、ゴルドの美観を引立てている朱色の屋根の家々が建つ岩盤斜面はほぼ南向き、一方、村からジャスト400mという適度の距離の展望テラスは北向きである。
天候が晴れの日ならば、早朝から夕方まで何時眺めても、一日中、陽光は南向きの村へ順光で照射する。故に展望テラスのツーリストは誰でも、デジカメの購入価格や露光性能の良し悪しに関係なく、純粋色のゴルドの全景を視野に入れたキレイな「定番写真」を撮ることができる(トップ写真)。
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ゴルドの村の風情/映画≪プロヴァンスの贈りもの A Good Year≫の撮影ロケ地

心くすぐる憧憬を誘うような見事な日本語タイトルにも影響され、ロマンを求める人々の間であまりに有名となった映画プロヴァンスの贈りもの A Good Yearのシーンの中に、露岩の展望テラスからのゴルドの全景(トップ写真)や兵士の慰霊碑のロータリー広場も登場している。
ロータリー広場の南東側を立ち塞ぐように建つのが巨大なシャトー城塞、その西壁側はレストランや工芸品ショップなどが並ぶジャンティ・パンタリイ広場、さらに南東へ50m進み、シャトーの南壁側には噴水(泉水)を備えた長辺三角形の空間のシャトー広場、この場所も映画の撮影ロケシーンに使われている。

兵士の慰霊碑のロータリー広場~ジャンティ・パンタリイ広場~噴水(泉水)のシャトー広場にかけて、ゴルドでは毎週火曜日、オープンエアーのマルシェ(市場)が開かれ、村と近郊の農家や生産者がテントショップを開き、野菜やジャムやサラミなど農産物や加工品、チーズなど乳製品、色々な食品や雑貨・日用品などが販売される。
シャトー広場の噴水(泉水)の脇、シャトーの南壁部にあるアーチ型の頑強そうな南入口の前には、3本のプラタナスの巨木が手ごろな日陰をつくり、カフェのパラソルテーブルも置かれている。シャトー広場の噴水(泉水)の周りは、今日、ゴルドを訪ねるツーリストの人気の休憩スポットとなっているが、1950年代まで噴水(泉水)は村で唯一の水源の役目を果たしていたとされる。
また、ピーター・メイル原作・イギリスBBC制作のテレビドラマ作品南仏プロヴァンスの12か月の「春シリーズ」では、晴れた天気の下、噴水(泉水)のある広場で村の物産コンテスト(フェスタ)が開かれ、村長の居眠りを誘う長~い挨拶に続いてパン屋の主人が優勝して祝福された後、子供から年配者まで大勢の村人達がカップルをつくり、音楽バンドに合わせ早いテンポのダンスを踊るシーンがある。
イギリス人作家 ピーター・メイル Peter Mayle
ピーター・メイルは1939年にイギリス・ロンドン郊外で生まれ、父親は外務省職員であった。アメリカや西インド諸島などで過ごしたピーターは、その後、本国へ戻り子供向けの絵本や童話を書いていた。40代後半、離職したピーターは夫人と共にプロヴァンス地方の美村メネルブの郊外へ移住、生活や伝統や風習の異なりからカルチャーショックの連続、毎日起こるハプニングをまとめ、1989年、50歳で執筆したエッセイ集≪南仏プロヴァンスの12か月 A Year in Province≫が世界的なベストセラーとなり、「イギリス紀行文学賞」を受賞する。
1993年、このエッセイ集をイギリスBBCがテレビシリーズでドラマ化したことで人気にさらに拍車がかかり、ヨーロッパ中に「プロヴァンス旅行ブーム」を巻き起こす切掛けとなった。このテレビドラマ作品は「フランスの最も美しい村」ゴルドを初め、メネルブなどリュベロン地方の郷愁溢れる小さな村々で撮影が行われ、1994年・1995年にNHKアナログ衛星番組でも放映された。
2002年、フランス文化への貢献が高く評価され、ピーターはフランス政府から「レジオンドヌール勲章・第5等(騎士ナイト相当)」を授与された。その後、2006年、再びゴルドなどリュベロン地方で撮影された映画≪プロヴァンスの贈りもの A Good Year≫が公開された。映画は2004年にピーターが執筆した同じタイトルの長編小説が原作となり、監督はピーターの友人サー・リドリー・スコットである。
一時期、アメリカで生活したピーターと夫人はプロヴァンス地方へ戻り、魅力的な村ボニューから南東8km、ゴルドからでは20km以上離れているが、作家カミュが愛した村、長期滞在者が多く住む「フランスの最も美しい村」のルールマルン Lourmarin(後述)で生活している。


BBC制作テレビドラマ作品≪南仏プロヴァンスの12か月≫
NHK・アナログ衛星放送/本編6時間(冬・春・夏・秋/各シリーズ1.5時間):
1994年1月 1.5時間 x 連続4日間
1994年6月 1.5時間 x 連続4日間(再放送)
1995年4月 1.5時間 x 連続4日間(再々放送)


映画≪プロヴァンスの贈りもの A Good Year≫
製作 US 20世紀FOX社/2006年配給
原作 ピーター・メイル(Peter Mayle, UK)
監督 サー・リドリー・スコット(Sir Ridley Scott, UK)
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堅固なシャトー城塞/ポル・マラ美術館/暖炉の大広間

プラタナスの巨木の脇、16世紀に強固され豪胆無比の威圧感さえ覚える、角に堂々たる塔を構えた3階建てのシャトー城塞の南壁部、噴水(泉水)の広場に面する南入口から25段ほどの急な石段を登った奥には、ツーリストへ現地情報を提供しているゴルド観光局 Office de Tourisme de Gordes が、そのほかシャトー内部には村役場 Mairie de Gordes など公的機関も入居している。なお、ゴルドのシャトーはフランスの「歴史的建造物」に指定されている。
花束を持ち鎖骨を大胆に出したドレスの美しいエレ女達、たまたま遭遇したので私の推測となるが、シャトー内部の礼拝堂チャペルでは結婚式を挙げることもできるようだ。挙式の後、新カップルは家族・親族、友人達の集まる婚宴の席で、≪アルルの女・第二組曲・第四曲・ファランドール≫と同じ、プロヴァンス地方に古くから伝わる祝い舞曲≪Farandole≫に合わせた軽快なテンポのお披露目ダンスを踊るのであろうか?
≪アルルの女≫を初め、プロヴァンス地方の生活や民話をつづった短編集≪風車小屋だより≫の文豪ドーテの活躍した19世紀のゴルドの村人達ように、あるいはテレビドラマ作品≪南仏プロヴァンスの12か月≫の中で村の人達が噴水(泉水)のシャトー広場でダンスを踊るシーンのように、明るく軽快にして優雅に・・・

シャトー城塞には、観光局と同じ石段入口から、芸術的な螺旋階段で入場できるポル・マラ美術館 Musée Pol Mara がある。1972年以来この村に住み、ゴルド名誉村民となったベルギー生まれ著名な画家ポル・マラ(1920年~1998年)の作品、水彩画やリトグラフなど200点あまりを展示している。
また、ポル・マラの作品展示と共に、シャトー内部では神殿様式とも言える大型の見事な彫刻が施された16世紀の暖炉の大広間が公開されている。≪南仏プロヴァンスの12か月≫の「春シリーズ」では、この暖炉の部屋は物産コンテストの最中、実力者マダム・エヴェリン・エルムンヴィーレ夫人が村長を介して呼んだ主人公ピーター・メイルと微妙な会話を交わすシーンで使われている。

丘上都市ゴルドの村を歩く/石畳の路地/石材・粘土・朱色の屋根/気取らない人々

村の頂点に建つシャトー城塞の南脇、噴水(泉水)のあるシャトー広場から石畳の狭い路地を南方へ少し下り、右側のゴルド薬局の南側に14世紀建立の聖フィルマン礼拝堂 Saint Firmin がある。更に曲がりくねった石畳の路地を歩くと岩盤に掘られたワインセラーやチーズ工場、ケーキやパン焼き店、古風なカンテラのさがる展望の斜面テラスなどへ至る。
聖フィルマン礼拝堂の東側には、中世ゴルドを約3世紀にわたって治めた槍騎兵のゴーダン家の邸宅 Palais Saint Firmin が残されている。建物の起源は12世紀に遡り、14世紀頃の壁面痕跡があり、17世紀~18世紀に改造されたアーチ型の堅固なロジア様式の階上部分と漆喰装飾の手摺りや階段は素晴らしい。特にアーチ型ヴォールト天井の地下区画は「邸宅の洞窟」と呼ばれ、15世紀の圧縮機や穀物粉砕装置、貯水槽なども残されている。なお、ゴーダン家の邸宅はフランスの「歴史的建造物」に指定されている。

ゴーダン家の邸宅の南側、盛夏の時期に斜面テラスに立つならば、上述した「定番写真」の露岩の展望テラス(パーキング場)と同じように、下方の平原から吹き上がる乾いた微風に汗が速乾されて行く。路地には足元を照らす古風なカンテラがさがり、気が遠くなるほどの歴史の中でメンテナンスを繰り返して来た地元産の石材を使った石組みテラスからは、波打つヴォークリーズ山地と丘陵、ワイン用ブドウやフルーツや野菜の栽培畑が織り成す雄大なリュベロン平原の展望を楽しめる。
ゴルドの大半は丘上と急勾配のヒナ壇状の斜面で、岩盤を上手に利用しながら不規則で複雑な路地が村全体を縦横に走っている。路地のほとんど全てが狭い石畳の造り、日本なら何処でも見られるアルミ製の伸縮タイプのモダン玄関ゲートや家屋を隠す高い塀などは許可されないので皆無である。さらに郊外住宅を除き、電線や電話線などもすべて地中埋没施工となっている。
石灰岩や凝灰岩のむき出しの岩盤、家屋の壁面や天井アーチ型の通路を初め、階段や伝統的な手摺り風の石組みも含め、木製ドアーや窓ガラスを除き、ゴルドの村は石材と石灰質粘土の塗り壁、そして朱色の屋根は素焼きテラコッタ製だけの建築仕様である。

ゴルド旧市街・「カラード石畳」 Gordes, Provence
ゴルド・「カラード石畳」の坂道/ロータリー広場~南西斜面の路地 Rue des Tracaplles
ヨーロッパの大都市に見られる整然とした平らで美的な石畳とは異なり、ゴルドの石畳の路地はプロヴァンス地方の町や村で良く見かける、地元産の石灰岩や砂岩など自然石材をちょっと横長に割ってびっしりと並べただけの、「カラード Calade」と呼ばれるゴツゴツした路面施工である(上写真)。
古代ローマのモザイク舗装路のようにとても美的とは言えないが、ゴルドの実用本位の「カラード石畳」は5年前からメンテナンスを忘れ、スカイブルーの塗装が剥がれた納屋の歪んだ扉やツタの這う少し崩れた壁面などと共に、伝統を尊ぶ気取らない村の人々の慎ましやかな日常と生き方を代弁しているとも言える。
迷路のように入り組んだ石畳の路地を歩く度に、100年単位の歴史の刻まれた年輪が浮き出た家々の古風なドアーや見上げるほど高く積まれた石造りの立派な壁面に驚かされる。また、骨董品ショップで売られるような風流な年代物の取手を興味本位で押せば暗い地下室や小さな礼拝堂などが現れ、斜面の路地は郷愁や異文化に憧憬して遠方からやって来たツーリストの期待と旅情をくすぐり続ける。

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ゴルド周辺の風景/季節の花の咲くゴルド周辺/郊外には別荘やホテル

春から初夏、ゴルドの直ぐ下方の平原も含め、この地方では薄紙の造花のような赤や朱色の色鮮やかなヒナゲシ(シャーレイポピー/コクリコ Coquelicot)の花で彩られる。微風の中で15歳の大人になる前の少女のように、はにかみながらも可憐にしてデリケートに揺れるヒナゲシの花言葉は「恋の予感」とか。
そして、盛夏になると、誰もが知っているヴォークリーズ山間地区の広大なラベンダー畑が一気に満開となり、青紫色の花と輝きの陽光による鮮やかな夏のプロヴァンスの協奏曲が奏でられる。
ちなみに、映画≪プロヴァンスの贈りもの≫のオリジナル英語タイトルになっている≪A Good Year≫は、ワイン用ブドウなどの「豊作の年」を意味する。≪プロヴァンスの贈りもの≫を介して、ロンドン金融界の豪腕トレーダーであるマックスとプロヴァンスの村のレストラン・オーナーであるファニーの、紆余曲折の出来事があっても、この映画は時間をかけて豊かに熟成するプロヴァンス・ロゼワインのような「大人の恋」の物語を描いている。

また、ゴルドは「美しい村」として世界的にも注目されるようになり、セナンク修道院への途中など、村から少し外れた林の中にはプール付きの豪奢な高級別荘や「5☆スパ・ホテル」も建てられている。有名な観光地なら何れ避けて通れない保存と開発・発展との葛藤が、ここゴルドでも生まれている。
「フランスの最も美しい村」が基準とする努力して歴史と文化を保ち素朴で郷愁を誘う姿とは異なるモダンな「別な世界」、個人の資産主義や経済優先のビジネス姿勢が見え隠れしながら、ゴルドの村へも急速な都市化、キレイな観光地への変貌の波が押し寄せているような観がある。なお、ゴルドは村の中心である丘上地区と周辺の丘陵地区を含め、現在、人口約2,200人である。

ゴルドから徒歩でも行けるラベンダーの花咲くセナンク修道院

ゴルドの村から潅木と露岩した尾根の西側を蛇行しながら、地方道D177号(通称=セナンク道路)を北西へ3km弱、セナンコル渓谷に佇むシトー修道会の「プロヴァンス三姉妹」として知られるセナンク修道院へ至る。
真夏7月上旬、セナンク修道院は青紫色のラベンダーの花に埋もれ、訪ねる人が圧倒される感動物語を演じる(下写真)。夏の時期、ツーリストが「フランスの最も美しい村」の丘上都市ゴルドを訪ねたなら、無理をしてでも「標準セット」として、ラベンダーの花咲くセナンク修道院を訪ねることを推奨したい。

セナンク修道院とラベンダー l'Abbaye Notre-Dame de Sénanque 塞南克修道院
セナンク修道院とラベンダー

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魅力溢れるリュベロン地方の小さな町と村々

リュベロン地方とは、おおよそで言えば、セナンク修道院の佇む北方のヴォークリーズ山地~広いリュベロン平原~穏やかな山容のプチット・リュベロン山地~南方のデュランス河畔までの範囲である。この地域には「フランスの最も美しい村」に認定された丘上都市ゴルドを含め、郷愁を誘うその景観から訪れるツーリストの誰もが満足して心癒される、プロヴァンスの典型的な小さな町と村が数多く点在している。

プロヴァンス・リュベロン地方 地図
プロヴァンス・リュベロン地方/作図=Blog管理者legend ej
わずかな経験論から、その代表的なスポットを記してみると;
先ずこの地域を北から南方へ下って行くなら、丘上都市ゴルドの東方10km、日本からのツアー・コースにも選択されつつある「フランスの最も美しい村」に認定された顔料イエローオーカーの赤褐色の村ルシヨン Rousillon、その東方4.5kmのガルガ Gargas でもオーカーの大規模な採掘場跡が残されている。
ルシヨンの南方4.5kmにはデュランス川へ注ぐカラヴォン川が流れ、紀元前1世紀に活躍した古代ローマの政治家・軍人ジュリアス・シーザー(G・ユリウス・カエサル)の発案、紀元0年前後に建造されたジュリアン石橋 Pont Julien が残されている。
フランスの「歴史的建造物」に指定されているこのローマ時代の石橋は、2005年まで車両通行できたが、現在、ツーリストなど歩行者以外に通行はできない。石灰岩を使った堅固な構造橋は、全長47m、3か所のアーチ型橋脚が2,000年前の精緻な建築技術を今に伝えている。
おそらく特別許可と思うが、BBCテレビドラマ作品≪南仏プロヴァンスの12か月≫の「夏シリーズ」では、ヤギの走行競争がルシヨンの広場で開かれ、ジュリアン石橋を水道業や塗装業者などの車が車列を組んで渡り(映画シーンから/左下写真)、誠実なブドウ農夫アメディの運転する収穫したブドウを満載したパワー不足のオンボロトラックも石橋を渡っている。

ジュリアン石橋の東方7km、この地方では最大の街、人口12,000人のアプト Apt の旧市街は、何れもフランスの「歴史的建造物」に指定されているが、守護聖人アンナの地下埋葬室クリプトと緑青色の銅屋根ドーム、鮮やかな後陣ステンドグラスで有名な聖アンナ大聖堂を中心に中世の狭い路地が交差している。
そのほか17世紀の城門と城壁で囲まれたアプト旧市街には、16世紀起源の高い時計塔や17世紀の聖カタリナ礼拝堂などの見所スポットがあり、雑貨やプロヴァンス・ワイン、強い香りが特徴の乾燥ラベンダー・サシュなどを求めるツーリストで賑わう。
ジュリアン石橋から地方道D149号(通称=ジュリアン橋道路)を南方へ5km、プチット・リュベロン山地の直ぐ北側、人口1,500人のボニュー Bonnieu もツーリスト好みの村である。村の北東1kmには、映画≪プロヴァンスの贈りもの≫の舞台、主人公マックスが叔父の遺産として引き継ぐシャトー城館、ワイン・シャトー実名称 Chateau La Canorgue(右下写真)がある。
丘上都市ゴルドのように平原へ突き出た尾根と斜面に家々が密集するボニューの村は、今日、映画の影響もありこの地方を訪れるツーリストの人気度ではトップレベルである。ヒマラヤスギ科の巨木が茂る標高400mの村の尾根には、鐘楼を備えた12世紀の要塞教会堂が建ち、ここから見下ろす1870年に新たに建立されたボニュー教会堂の塔、斜面の住宅群の下方に広がるリュベロン平原の展望は素晴らしい。なお、要塞教会堂はフランスの「歴史的建造物」に指定されている。

映画シーン・ジュリアン石橋   撮影に使われたワイン・シャトー
左写真: BBCテレビドラマ作品≪プロヴァンスの12か月≫のシーンから/ローマ時代建造のジュリアン石橋
右写真: 映画≪プロヴァンスの贈りもの≫の撮影ロケのシャトー/ワイン・シャトー Chateau La Canorgue  
ボニューの西方、突き出た尾根に18世紀のサド侯爵のシャトー城館の廃墟(現所有=装飾デザイナー・ピエール・カルダン)が残り、東側斜面に家々が広がる小村ラコスト Lacaste は人口500人。丘の麓には果樹園とブドウ畑が広がり、「これでもか!」とばかりにプロヴァンスらしい素朴な風情を主張している。なお、ラコストのシャトーはフランスの「歴史的建造物」に指定されている。
リュベロン平原へ標高差70mで突き出た尾根に細長く延びた人口1,200人、「フランスの最も美しい村」のメネルブ Menerbes は坂道の多い村である。BBC制作のテレビドラマ作品≪南仏プロヴァンスの12か月≫と映画≪プロヴァンスの贈りもの≫の撮影ロケ地として世界的に有名となった。
14世紀建立のメネルブの要塞教会堂は、16世紀のフランス宗教改革の「ユグノー戦争」では、ユグノー派(プロテスタント教会)の拠点となり、ローマ・カトリック教会との間で激しい戦いが行われ大きく破壊された。
また、ラコストとメネルブの中間付近、標高290mの山腹にある聖ヒラリウス修道院もフランスの「歴史的建造物」に指定されている。聖ヒラリウスはガリア(西フランス)の要衝ポアティエの司教を務めた4世紀のアタナシオス派(三位一体論)の聖人である。

ボニュー村の南側には最標高1,256mのプチット・リュベロン自然保護区の山地が広がり、最近、高級別荘地として注目を浴びる標高430mの峠を越え、蛇行する地方道D36号~D943号(通称=アプト道路)を麓へ南下すると「フランスの最も美しい村」のルールマルン Lourmarin へ至る。
南フランスらしくプラタナスの並木道の彼方に長期滞在者の小奇麗な別荘が見え隠れするルールマルンは、12世紀の城砦を16世紀にルネッサンス様式へ改修したシャトー城館があり、1960年に40代で亡くなった作家アルベール・カミュが愛した村(墓地=村の南方500m)、エッセイ集≪南仏プロヴァンスの12か月≫の作家ピーター・メイル夫妻が住む村でもある。ルールマルンのシャトーは1992年にフランスの「歴史的建造物」に指定されている。
人口1,200人、ルールマルンはゴルドより小さな村だが、場違いとも言える上品さが漂い、反面、狭い路地に沿ってツタの絡まる古風な家々が建ち並ぶという景観の対比も見られる。かつて夏の頃、私はプラタナスの並木が木陰をつくる村のオープン・カフェで冷たい飲み物を頼み、草原の向こうに建つくすんだ色彩のシャトーを眺め、しばし寛ぎの時を過ごしたことがある。
なお、BBCテレビドラマ作品≪南仏プロヴァンスの12か月≫の「春シリーズ」では、主人公ピーター・メイルと夫人アニーが、このプラタナスの並木の広場で開かれる賑やかなオープンマーケットを歩き、夫人愛用のストローテーパード籠に青野菜などをゲットして帰路に着く際、草原の向うにシャトーが遠景として映る、如何にもプロヴァンス的な印象シーンを想い出す。

ルールマルンの直ぐ南方3kmのカデネ Cadenet は、デュランス川北側の河岸段丘の斜面に発達した村である。以前、私はこの村を2時間ほど歩いたが、村の通りは幾分狭く、人気のある中都市エクス・アン・プロヴァンスからルールマルンやボニュー、アプト方面への交通の要衝なので通過する車も多く、プロヴァンス地方の村としてはザワザワ、個人的には何処か落付けない雰囲気を感じた。なお、村の聖エティエンヌ教会堂はフランスの「歴史的建造物」に指定されている。
カデネの西方5km、美村ルールマルンからアヴィニオンへのバスルートにあるローリ Lauris は人口3,500人ほど、プチット・リュベロン山地の南側、やはり河岸段丘の上部に発達した村というより小さな町である。段丘から南西側へ突き出るように長方形の庭園のあるシャトー城館が建ち、旧市街の通りは狭いが整然としている。シャトーから700m先のデュランス川への展望も良いことから、個人的には気に入った場所の一つである。

さらに見逃せないスポットは、カデネから南西5km、デュランス川の対岸(南側)、人口5,400人のラ・ロック・ダンテロン La Roque d'Antheron である。町の東方には、ラベンダーの花咲くセナンク修道院と並び、シトー修道会の「プロヴァンス三姉妹」と呼ばれる12世紀ロマネスク様式のシルヴァカーヌ修道院がある(下写真)。
夏季に有名な「国際ピアノ音楽祭」が開催されるラ・ロック・ダンテロンでの回想は、シャトー城館の近く、ふらりと立ち寄った地元レストランの若いオーナー・シェフの勧めで、ビネガードレッシングをたっぷりかけて食した生ハムとエシャロット入り南欧風サラダで、真夏に相応しい酸味の効いたあのフレッシュな味は今でも忘れられない。

プロヴァンス三姉妹・シルヴァカーヌ修道院 l'Abbaye de Silvacane
シトー修道会・「プロヴァンス三姉妹」・シルヴァカーヌ修道院

カデネの東方7kmのアンスイ Ansouis は、広大なブドウ畑やプロヴァンス松の林などに囲まれた緑豊かな典型的な丘上都市、「フランスの最も美しい村」に認定された人口1,100人の小村である。10世紀にさかのぼる歴史あるシャトー城砦を中心に、ワイン生産などで小村ながら繁栄を享受してきた。
ゴルドと同様に石造りの家々が密集する景観に惹かれ、特に夏のシーズン、アンスイを訪れるヨーロッパのツーリストは結構たくさん居る。夏の時期、日本人ツアーツーリストはヴァカンスでパリジェンヌ達が出払った首都パリを目指し、一方、フランス国内は元よりヨーロッパ諸国からフランスを訪ねるツーリストは、ゴルドやアンスイのような素朴な村々で長い夏時間を静かに過ごす。この東洋の「急ぎ足民族」と時間にゆとりあるヨーロッパの「優雅な民族」の歯がゆい対比を見てしまう時、せめて夏の休暇に関してはヨーロッパ人の半分だけでも真似をしたいもの、と思うことがある。
美村ルールマルンの東方6km、アンスイの北方5km、人口1,850人、周囲はブドウ畑、かつて城壁に囲まれた村キュキュロン Cucuron には、西側の丘に14世紀の分厚い壁面の方形塔を、東方へ約250m離れた丘には円形の稜堡(塔)が残されている。
その中間が13世紀~15世紀に三回にわたって拡張されたフランスの「歴史的建造物」の城壁で囲まれた旧市街、その中心には13世紀起源の古い城壁を利用した高い鐘楼が建ち、1500年代に装備されたという時計と鐘が今でも時を刻み立派に役目を果している。
旧市街の北側、かつて14世紀から水車用水溜めに使われ、今日、人々の憩いの場になったプラタナスの巨木に囲まれた長方形の大きな貯水池がある。映画≪プロヴァンスの贈りもの≫では、この場所は主人公マックスと魅力的なファニーがデートするが、突然激しい雷雨となり、急ぎレストランから人々が去り、雨粒の落ちる池脇に広げたパラソルテーブルで、(映画らしく予想した通りの舞台が整い)二人が濃密なキスを交わすシーンに使われた。

●参考情報: 人家の密集する美しい街と村々

「フランスの最も美しい村」に限らず、ヨーロッパや中東など、経験論ながら斜面や丘や崖上に人家が密集する美しい街と村々のスポット写真例を挙げるなら、下記のような場所がある。

「天空の城塞都市」 コルド・シュル・スィエル Cordes-sur-Ciel
南西フランス・ケルシー地方・「天空の城塞都市」コルド・シュル・スィエル

「トルコの最も美しい旧市街」 サフランボル Safranbolu, Turkey
「トルコの最も美しい旧市街」サフランボル/トルコ中北部

ヴェリコ・タルノヴォ旧市街 Veliko Tarnovo, Bulgaria 保加利亚 大特尔诺沃
ブルガリアの首都であったヴェリコ・タルノヴォ旧市街/バルカン山脈
●関連ブログ: ヨーロッパの「最も美しい街」は? 経験論から Ⅰ部(北欧~中欧~東欧)
イエメン山岳地方・ハジャラ村 Al Hajara, Yemen 阿拉伯半岛也门
標高2,600m ハジャラ村/イエメン山岳地方

イエメン砂漠地方オアシス・タリム Tarim, Yemen 阿拉伯半岛也门
日干しレンガの住宅が密集するオアシス・タリム/イエメン砂漠地方
●関連Webサイト: 海外旅行1,200日・世界47か国 旅人legend ej の世界紀行・心に刻む遥かなる「時」
legend ej の世界紀行
●過去のブログ:
イエメン: イエメン砂漠/ワディ・ハダラマート大峡谷/夏 熱射60℃ 灼熱の世界
イタリア: 「花の都・フローレンス」で観たボッティチェリ作・フレスコ画≪受胎告知≫
       世界遺産・北イタリア・ドロミテ山塊/大自然の造形美 「雄大なる讃歌」
ギリシア: ミノア王妃の「世界最古のお風呂」と水洗トイレ/クレタ島クノッソス宮殿遺跡
       クレタ島クノッソス宮殿遺跡・フレスコ画≪パリジェンヌ≫は女神だったのか?
スペイン: ラ・マンチャの乾いた風/コンスエグラとカンポ・デ・クリプターナの風車の丘
フランス: 夏 ラベンダーの花咲く季節/南仏プロヴァンス地方セナンク修道院 
       花のある風景/アルザス・ワイン街道・コロンバージュ様式の美しい家並み
       南西フランス・ケルシー地方・「フランスの最も美しい村」サン・シル・ラポピー
       「フランスの最も美しい村」ゴルド/南仏プロヴァンスの「極上の美しい眺め」
南アフリカ: ジャカランダの花咲く南アフリカ・プレトリア/「花の魔術」のナマクアランド地方
EU諸国: ヨーロッパの「最も美しい街」は? 経験論からⅠ部(北欧~中欧~東欧)

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